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01 SAIKO OHSARA - Universal Bakes and Cafe

01 SAIKO OHSARA - Universal Bakes and Cafe

PROFILE
大皿彩子(オオサラ サイコ)さん
広告会社勤務を経て、2012年にフード専門のプランニングやプロデュースを行う「さいころ食堂」を設立。 2016年9月、東京・中目黒に100% Veganメニューを提供する飲食店「Alaska zwei」をオープン。2020年5月、東京・世田谷代田に100% Veganのベーカリーカフェ「Universal Bakes and Cafe」をオープン。食に関わるプランニング、プロデュース、原稿提供、メニュー開発、料理教室の開催など“おいしい企画”を制作している。

素材の美味しさを
シンプルに伝えたい

「オレンジ色のジュースが出てきたよ」
「こっちからニョロニョロ何かが出てきたよ」

ゆっくりと回るジューサーを眺めながら、4歳の息子とりんごとにんじんのジュースができるのを待つ。大皿彩子さんの毎朝の風景。ジュースができあがったらフードプロセッサーに移して、豆乳と冷凍バナナとレモン汁をプラスし、たっぷり飲めるジュースにする。
「365日中300日くらいは季節を問わず手に入るりんごとにんじん。夏はパイナップルとにんじんが定番です。ごくごく飲める量にしたいので、豆乳とバナナを合わせ、毎朝子どもと飲んでいます」。

東京・中目黒にあるヴィーガンカフェ「アラスカ ツヴァイ」と、世田谷代田にあるヴィーガンベーカリー「ユニバーサル ベイクス&カフェ」のオーナーでもあり、食専門のプランナー、プロデューサーでもある大皿さん。ヒューロムのスロージューサーを暮らしに取り入れるきっかけは4年前に第一子が生まれたこと。

「その前から搾りカスを使ったレシピ開発に携わっていたこともあり、良さは実感していて。でも実は、結婚して子どもが産まれるまで、食卓へのこだわりはそこまでなかったんです。一つの丼におかずを全部乗せて食べたりとか(笑)。家族ができてから、栄養バランス、盛り付けを含め、何をどう食べるかが大切になりました。食べるものが幸せの時間を作りますから。その意味でも、子どもの離乳食がはじまる頃、我が家でも使うことにしたんです。離乳食で大切なのは素材の味を伝えること。便利な離乳食用のペーストは売っているけど、野菜の産地は選べないし、レトルトやけの味もする。とはいえ手ですりおろすのは大変なので、そこは機械に頼ろうと。スロージューサーで作れるジュースや搾りカスを離乳食にすることで、どんなに助けられたことか。子どもが美味しく飲んでくれたし、使う野菜は自分で選べる安心感もありましたね」。

子供の離乳食が終わってからも、毎朝のジュースは大皿さんにとっても習慣に。「繊維が残らないからごくごく飲めるし、栄養が体に染み渡る実感もある。ちょっと外食が続いてしまっても、一杯で栄養バランスのいいジュースがあれば大丈夫という安心感もあります。そして、ジュース作りは子どもとの大切なコミュニケーションの時間にもなっています」。

「幸せ感」の因数分解が
本当の美味しい!を作る

ジュースを作り終えると出るりんごとにんじんの搾りカスも、料理を作る上でありがたい食材と大皿さん。搾りカスを塩・胡椒で炒めたものを冷凍保存し、コロッケやポテトサラダ入れたり。栄養バランスが整うことも気に入っているポイントだそう。また、いちばんのおすすめは、搾りカスを生かして作るベシャメルソース。多めに作って冷凍し、グラタン作りに役立てている。「りんごとにんじんの自然な甘み、とろりとおいしいベシャメルソースで作るグラタンは、子どもがパクパク食べる定番メニューです。生クリームではなく無調整豆乳を使い、植物性素材のみで作ると食べた後の体が軽いです。冷凍したベシャメルソースを解凍して、加熱した具材と合わせれば様々なグラタンになります。ヴィーガンにするならきのこは鉄板。そのほかさつまいも&レンコン&アーモンド、カブ&ブロッコリーなども。夏にはソテーしたトマトで作るグラタンもおいしいです」。

この日はヴィーガングラタンを作ってくれたが、家での食事はヴィーガンにこだわらず、肉や魚介、チーズも使う。そのことが、同じメニューをヴィーガンでどう作るかを考えるときに道標になるという。「ヴィーガン用の代替食材はたくさんできていますが、美味しいかといえば疑問符がつく。野菜や豆を“本物の肉のように”と“代わりのもの”という感覚で使うのはちょっと寂しいですよね。お肉は美味しい、同じくらい野菜や豆も美味しいと、素直に作りたいゴールを目指します。大切なのは“どんな幸せ感が欲しいか”だと思っていて。例えばチーズグラタンの何に幸せを感じているかと考えると、“トロッと”“カリッと”“サクッと”した食感。であるなら、“トロッと”は植物素材のベシャメルソース、“カリっと”“サクッと”はパン粉と塩とガーリックとオリーブオイルで表現すればいい。家族との食事で“幸せ感”を因数分解することは、お店のメニューを考えるときの発想の源にもなっていますね」。

日々、口にするものが
食に対する意識を育む

大皿さんが店を始めるときに100%ヴィーガンフードにした理由も、世界中の誰もが幸せ感を共有できる料理を考えてのこと。「世界を見渡すと宗教的、文化的背景によって様々な食生活がありますよね。その誰もが一緒に食卓を囲める世界を思い浮かべた時に、誰もが食べられる植物性素材で作ろうと。食材に制限があるからこそ、大切なのは“ 幸せ感” 。人は五感を使って料理のどんなところに幸せを感じるのかを、シェフやスタッフと言語化できるまで考え、レシピに組み立てていきます。料理を見た時の喜び、口に運んだ時の心地よさ、一つ一つの素材が生きる美味しさ、そのための組み合わせ。その答えを出すためにも家族との食卓は大切で。家族の反応ってすごく早いですから。特に子どもの味覚は敏感。息子はジュースに入れるにんじんが変わると『いつもの方がおいしいな』ってクレームを言ってきます(笑)。でもそれだけ素材の味を『美味しい! 』と伝えられてるってことで。それはやっぱりうれしいですね」。

Photography : Yuka Yanazume

※当記事の内容はあくまで個人の体験談であり、個々の患者さんとその治療に関して特定の治療法などを推奨するものではありません。治療に関してのご判断は、医療従事者とご相談のうえ、慎重におこなってください。当記事に起因する問題に関して当社は一切の責任を負いません。